女子100mHは、これまでにないほど高いレベルで各選手が接戦を繰り広げています。
2023年8月3日以降の代表発表を前に、現時点(7月24日)で参加資格を満たしている選手が、4人。各国3人枠なので、1名は涙を飲むことになります。
この記事では、
・女子100mHのここ数年のレベルアップ
・かつてない層の厚さ
・ブダペスト世陸の代表のズバリ展望
について、解説していきます!
日本女子100mHのこれまで
13秒台の壁に挑戦しつづけた19年間
日本の女子100mハードルは、2000年に金沢イボンヌ選手が当時の日本記録 13.00を記録して以来、13秒切りが目標とされながら、突破できない時代が長く続きました。
その間、女子ハードル界を引っ張っていたのは、美人アスリートしても人気だった木村文子選手。日本選手権では、2011年、2012年、2014年、2016年、2017年、2019年と6回の優勝を誇ります。
すごいにゃあ!
これだけ長い間トップで活躍できるモチベーションもすごいわよね!
現在は引退して多方面で活躍しているよ。
木村選手は何度か12秒台に迫りましたが、自己ベストは13.03。13秒の壁は高く、選手たちの挑戦を拒み続けました。
12秒台でも表彰台に上がれない時代へ
初めて12秒台を突破したのは、寺田明日香選手。
23歳で陸上を引退し、結婚→出産→7人制ラグビーへの転向を経て2019年4月に復帰した5ヶ月後の富士北麓ワールドトライアルで、12.97を記録します。
ここからです。男子110mHもそうでしたが、一人が壁を破ったことで、次々と12秒台で走る選手が現れ、女子100mHはかつてない高いレベルになっているのです。
日本記録の推移です。
- 2019/9/1 12.97(+1.2)富士北麓WT 寺田明日香
- 2021/4/29 12.96(+1.6) 織田記念陸上 寺田明日香
- 2021/6/1 12.87(+0.6) 木南記念 寺田明日香
- 2021/6/6 12.87(+1.8) 布勢スプリント 青木益未
- 2022/4/10 12.86(-0.2) 北陸実業団 青木益未
- 2022/7/24 12.82(+0.9) オレゴン世界陸上 福部真子
- 2022/9/25 12.73(+1.1) 全日本実業団 福部真子
2023年に入り日本記録こそ出ていませんが、各レースで12秒台が複数人出ることは当たり前という、少し前までは考えられないレベルとなっています。
それを象徴するレースとなったのが、2023年5月21日に開催された、セイコーゴールデングランプリ陸上の決勝。
筆者も現地で観戦していました。
偶然知人と隣の席だったのですが(ビックリ)、トラック&フィールドの陸上観戦は初めてと言うその人に、「初の現地観戦でこれはラッキーですよ。このレースは歴史に残ります…」と熱に浮かれたようにつぶやきました。
そうした状況で世界陸上代表選考会である日本選手権を迎えます。
代表選考の状況を見ていきましょう!
ブダペスト世界陸上代表選考の見通し
参加資格を満たしている選手は?
参加標準記録 12秒78
ターゲットナンバー 40
こちらが女子100mHの参加資格です。
下記の選手がこの条件を満たしています。
- 参加標準記録突破選手
-
福部真子選手(12.73)*日本記録
- ターゲットナンバー内選手 ()内は7/21時点でのランキング
-
寺田明日香(25)
青木益未(28)
田中佑美(33)
そんなにレベルが高いのに、内定者は出ていないの?
標準記録の条件を満たしている福部選手が日本選手権で3位以内だったら内定だったんだけど、、、
日本記録保持者の福部真子選手が出られない可能性が高い
福部選手は、昨年2022年9月の全日本実業団対抗陸上競技選手権大会(岐阜メモリアルセンター 長良川競技場)で、12.73の日本記録を出し、参加標準記録を突破しています。
なので、日本選手権で3位以内に入れば即内定だったのですが、、、
結果は3位の田中選手と0.03秒差で4位。
これだけでも泣きたい状況ですが、なんと最初、電光掲示板に1位 福部真子と表示されたのです。
本人も走っていて1位では無いとわかっていたと思いますが、表示を見れば「もしかして」と思ってしまいます。
歓喜の涙を流していましたが、一転、4位となり悲しみの号泣となってしまいました。
運営はどうなってるのかな?かわいそうだよ(泣)
観客席もザワザワしてたよ。
優勝した寺田選手も「選手もびっくりしちゃうので、そこはしっかりやっていただきたい」とインタビューで開口一番苦言を呈していたね。
女子100mH 代表選考についてのまとめ
1.寺田選手、青木選手、田中選手のワールドランキングは安全圏なので
→寺田明日香選手、青木益未選手、田中祐美選手
2.もしも田中選手がランキング外となった場合は
→寺田明日香選手、青木益未選手、福部真子選手
となります。
ワールドランキング日本人1位、日本記録保持者で参加標準記録を突破している福部選手が出られない可能性が高いのはモヤりますが、誰よりも日本陸連が残念に思っていることと思います。
福部選手は、冬季練習で筋力アップに努めて体重も4kg増えたそうです。
筋肉量が増えたことで一歩が大きくなっているので、その調整に苦労していると思いますが、そこが噛み合った時に、素晴らしい記録が出ると思います!パリ五輪に期待ですね!
ライバルでありながら普段は仲の良いことでも有名な女子100mHの選手たち。これからも切磋琢磨して世界に近づいていってくれることに期待です!